奥 英久教授おススメの本をご紹介します！
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「福祉工学への招待」
　著　者：伊福部　達　（いふくべ　とおる）
　出版社：ミネルバ書房
　発　刊：2014年

　最近は「ポケモンGO」が大流行し社会現象となっていますが、その基（もと）になった技術であるAR（拡張現実）、その基本技術のVR（バーチャル・リアリティ／人工現実）を理解して楽しんでいる人は数少ないのではないでしょうか。本書の著者である伊福部先生は、北海道大学および東京大学を通じて、長年にわたり先端技術を応用した福祉用具、なかでも「聞く」「話す」「見る」ことを支援する福祉用具の研究と開発に携わってこられた科学者で、1996年に設立された日本バーチャルリアリティ学会の初代会長でもあります。
　こう紹介すると、「ハイレベルな科学者が書いた本なので難しいのでは？」と思われるかもしれませんが、予備知識がなくても読みやすいように、著者が長年取り組んできた身近な事例や興味深いエピソードも紹介されています。例えば、3.11東日本大震災のあとに作られた緊急地震速報チャイムの作者であることが紹介されています。また、人気テレビ番組の「大改造　劇的ビフォーアフター」に、難聴者が住みやすい家を考える「音の匠」として登場したことも紹介されています。「福祉のためのモノづくり」に関心のある学生さんは勿論ですが、福祉工学分野の科学者の幅広い足跡をたどるという視点からも参考になる一冊としてご紹介します。
　ただ、本書の唯一の欠点として、学生さんが気軽に購入するには価格が少し高い、という現実的問題があります。その場合には、図書館などの活用をお勧めします。